琵琶湖に浮かぶ神仏同居の神聖な島(竹生島)

旅・ツーリング
竹生島

本格的に冬に突入してからというもの、寒い日や雪の降る日が多かったため、すっかりバイクに乗らなくなっていたのですが、先週末は比較的気温も高く天気も良かったため、久々にバイクに乗って近場の滋賀県内をツーリングしてきました。

この日訪れたのは、琵琶湖の中に浮かぶ竹生島(ちくぶしま)という小さな島です。

琵琶湖には4つの島があるのですが、その中でもこの竹生島は神社とお寺が共存し、神が棲む島として古来から信仰を集めており、パワースポットとしても人気のある場所です。

また、この島は万城目学の小説が原作の映画「偉大なる、しゅららぼん」のロケ地にもなったそうで、この作品が好きな方は良くご存じの島かもしれません。

この島へ渡る船は今津港、長浜港、彦根港の3か所から出ていますが、いずれもフェリーではなく通常の客船となるため、車両は乗船できません。そのため、各港の駐車場にバイクや車を止めた上で島に渡る事になります。

今回は自家用車でも鉄道でもアクセスしやすい今津港から乗船するルートを選び、港まではバイクで向かう事にしました。

今津港・乗船(行き)

久しぶり跨る愛車のバイクが、いつも通りエンジンが掛かり始めた事に安心しつつ、今津港をAM10:40に出港する船に乗れるよう、AM9時前にはバイクで自宅を出ました。

船の便数はそれほど多くなく、特に冬季は今津港から発着する船は1日2往復しかないため、事前に出港時刻を調べてから計画的に出発するのが良さそうです。

自宅を出てから琵琶湖の西側を縦に延びる湖西道路(国道161号)をひたすら北に進み、出港時刻の20分程前に今津港近くにある琵琶湖汽船専用駐車場(無料)に到着しました。

すぐ近くにJR近江今津駅が見えるので、電車で訪れても今津港まで楽々と歩いて行けそうです。

ここの駐車場は舗装されておらず、砂利も撒かれているため、バイクの場合は注意しながら敷地内を移動する必要があります。

今津港 琵琶湖汽船駐車場

駐車場にバイクを停めて今津港の方へ歩き出すと、程なくして竹生島行きの観光船のりばが見えてきました。

出航まであまり時間が無いため、早速窓口に行って乗船チケットを購入しました。料金は今津港と竹生島の往復料金で大人2,700円でした。(2023年2月時点)

ちなみに、帰りは今津港に戻らず長浜港へ向かうコースもあるそうなので、電車旅の場合はそちらも良いかもしれません。

今津港 観光船乗り場

桟橋に出ると、既に多くの人が並んでいました。失礼ながら週末とはいえあまり混んでいないだろうと思い込んでいたのですが、実は結構人気のあるスポットの様です。

乗船後も、デッキにあるベンチ席は満席で、船室のシート席も7割ぐらいは埋まっていたと思います。

船室の最前列の席が1つだけ空いていたので、そこに着席して出港を待っていると、間もなくして船が動き始めました。

竹生島行き観光船

竹生島 入島

出港から20分ほど経った所で目的地の竹生島が見えてきました。

島の側面に断崖が広がるのが見え、人を寄せ付けなそうな雰囲気が神聖な場所であるという印象を一層強くさせています。

程なくして竹生島港に着岸し、次々と乗船客が下船し始めました。

竹生島港

私も船を降り、少し立ち止まって島の中心部の方を見上げてみました。

住人も居ない小さな島の、ごく限られたエリアに神社仏閣がぎゅっと詰まった姿は、一種独特の雰囲気があります。

竹生島港からの眺め

近くに島の案内図がありました。これを見る限り拝観できるエリアはそれほど広い様にも思えないため、全体を見て回ってもさほど時間は掛からなそうです。

帰りの船が出港するまでに滞在可能な時間は80分強だったので、たっぷり時間をかけてじっくり回るという事でなければ、十分に見て回れそうです。

今回は、ここに来る船の中に置いてあったパンフレットに記載されたモデルルートの順に沿って回ってみる事にしました。下の写真の案内図で示すと、港を起点に概ね時計回りにぐるっと回る感じになります。

竹生島案内板

港の周辺には「琵琶湖周航の歌」の歌碑や、ここが琵琶湖八景の1つである事を示す石碑などのモニュメント類に、レトロな円筒型の郵便ポストがあったりと目を引くものが点在します。

竹生島港周辺・(左上)琵琶湖周航の歌 歌碑

土産物屋等が立ち並ぶ島の参道と思われるエリアを通り過ぎ、拝観エリアの入口まで来ました。

ここに設置されている自販機で拝観券を購入し、入口のゲート付近に居る係員の方にその券を提示して中に入ります。

その際、係員の方から「かわらけ投げ」をする場合は、初穂料400円(2023年2月時点)を納め、かわらけを1セット(2枚)持っていってくださいと言われました。かわらけ投げの事は後で書きますが、かわらけ自体は小さな皿の様な形をした素焼きの土器の事です。

かわらけ投げはこの島を訪れる方の大半が挑戦する様ですので、私も初穂料を納めてかわらけを2枚いただきました。

売店・拝観受付・入口

入口から拝観エリアに入るといきなり石段がありました。この石段の先を見上げると、宝厳寺と刻まれた石碑と、鳥居が見えます。

お寺なのに鳥居があるという不思議な光景ですが、ここが神様と仏様が同居する場所である事を象徴している様にも感じました。

宝厳寺入口の石段

宝厳寺本堂・三重塔 周辺

入口すぐの石段を上り切って鳥居をくぐり安心したのも束の間、さらに次の石段が目の前に現れました。

パンフレットによると、この石段は「祈りの階段」と呼ばれているそうで、合計165段あるそうです。

運動不足の体に鞭を打ち、続けて石段を上って行きます。

祈りの階段

何とか石段を上り切り、宝厳寺本堂(弁才天堂)の前まで来ました。こちらは竹生島にある「お寺」の方になります。

実はこの宝厳寺は、広島県の厳島にある厳島神社や、神奈川県の江の島にある江島神社という名だたる神社と並んで日本三大弁財天の一つに数えられているそうです。恥ずかしながらここに来るまでその事を知りませんでした。

既に私は厳島神社と江島神社に訪れた事があるため、今回の訪問で思いがけず日本三大弁財天への参拝をコンプリートする事になりました。

本堂での参拝を済ませ、今度は三重塔の方へ行ってみる事にします。

宝厳寺 本堂(弁才天堂)

三重塔に向かう途中に、派手な色使いの南無不動明王像に目が留まりました。

何気に目を引いたのが、この像の脇にある「竹生島流棒術発祥之地」と書かれた石碑で、棒術にも剣術同様に流派があるという事と、その流派の一つがこの小さな島を起源としているという2つの事が、個人的に新たな発見でした。

南無不動明王像

南無不動明王像の前を通り過ぎると、三重塔に続く石段が現れ、本日三度目の石段を上ります。

三重塔前石段

石段を上り切ると、朱塗りの鮮やかな三重塔が目の前に現れました。京都あたりに建つ塔と比べても全く遜色ないほど立派です。

ちなみに、この三重塔のある一画が、島内で参拝客が入れる場所の中で最も高いエリアになるそうです。

三重塔

三重塔のすぐ近くに宝物殿がありました。国宝級の物を始め、このお寺に関する貴重な宝物が展示されている施設(別途入場料が必要)の様です。

今回は先に他を一通り回った上で、帰りの船の出港時刻まで時間的に余裕があれば戻って来ようと考えていたのですが、結局時間が余らなかったため、入場を見送る結果となりました。

宝物殿

先ほど上ってきた三重塔へ続く石段を今度は下り、再び本堂近くまで戻ってくると、納経堂に御朱印を求める人の長い行列が出来上がっていました。私も御朱印をいただこうと思っていたので、仕方なくこの列の最後尾に並ぶことにします。

ここは書置きではなく、その場で1枚1枚書いてもらえるため、列は進みはかなり遅いです。帰りの船の時間があるので次第に不安になってきます。結果的に20~30分ほど待ってようやく御朱印をいただく事ができました。

一気に時間的なゆとりが無くなったため、先を急ぎ、この場所から石段を下った所にある唐門の方へ向かう事にします。

納経所・三十三ヶ所観世音奉安殿 付近

この石段も結構長いですが、今度は下りのため難なく進む事ができます。

唐門前の石段

唐門・船廊下

カラフルな色使いの唐門の前まで来ました。これは豊臣秀吉が建てた大阪城の一部を移築したものだそうで、国宝になっているとの事です。これを見ただけでも当時の大阪城がいかに豪華絢爛な城だったかという事が伺えます。

この奥に重要文化財の観音堂があるのですが、残念ながら撮影禁止だったため写真はありません。

唐門

観音堂を過ぎると、船廊下に出ます。この廊下は朝鮮出兵の時に、秀吉のご座船として作られた日本丸の船櫓を利用して作られたものだそうで、これも重要文化財になっています。

ちなみに、秀吉自身は当時高齢だった事もあり、家臣に止められ朝鮮には赴かなかったそうです。

舟廊下

都久夫須麻(竹生島)神社 本殿・龍神拝所(かわらけ投げ)

舟廊下を抜けると、都久夫須麻(竹生島)神社本殿の脇に出ます。

この本殿も豊臣秀吉にゆかりのある建造物で、秀吉の建てた伏見城の一部が移築されたものです。唐門と同様に国宝になっています。

都久夫須麻神社 本殿

ここでも参拝を済ませた後、石段を下りて振り返って本殿を正面から眺めてみると、きらびやかな装飾と、天皇家の菊の御紋と豊臣家の五三の桐紋があしらわれた紫の幕が、格式の高さを感じさせてくれます。

都久夫須麻神社 本殿

本殿の対面には「かわらけ投げ」スポットでもある龍神拝所があります。

改めて「かわらけ投げ」の説明をしますと、願い事を書いた「かわらけ」という小皿の形をした土器を鳥居目掛けて2回投げ、鳥居の中をくぐれば願いが叶うと言われているものです。

龍神拝所

龍神拝所の入口にも「かわらけ投げ」と書かれた札が下がっていました。早速中に入ってみます。

龍神拝所

中に入ると、今まさにかわらけ投げをしようとしている方がいました。

どんな感じで投げるのか少し見させてもらいましたが、勢いが足りなかったのか、残念ながら2回とも鳥居のかなり手前で落ちて行きました。割と力いっぱい投げた方が良さそうです。

そろそろ自分も投げる準備をします。

龍神拝所

卓上にあった説明書きによると、投げる前にかわらけの1枚目には自分の名前を、2枚目には願い事を書く様です。

案内通り記入し、いよいよかわらけ投げの開始です。

かわらけ

投げる位置に立つと、海の様な広大な琵琶湖を背景にポツンと立つ鳥居が見えました。

素晴らしい景色を目にしながら、フリスビーを投げる要領でまず自分の名前が書かれた1枚目を力いっぱい投げてみました。すると、見事に鳥居の中をくぐって行きました。

しかし、1投目があっけなく成功したので油断したのか、願い事が書かれた2投目のかわらけは鳥居の左の方に大きくそれて行ってしまいました。

悔しい結果に終わりましたが、逆に神様に頼らなくても済む様に明日から頑張ろうという気持ちになりました。

かわらけ投げの鳥居

かわらけを投げた後も、ここからの眺めがあまりにも良かったので、気の済むまで琵琶湖の景色を眺めてしまいました。

龍神拝所からの眺め(琵琶湖)

竹生島港・乗船(帰り)

龍神拝所を出る頃になると、そろそろ帰りの船の出港時刻が迫って来ていたので、港まで戻る事にします。

途中、先ほど通って来た舟廊下の下にある道を通って港の近くまで戻ってきました。

都久夫須麻神社 本殿から港へ続く道中

既に帰りの船で乗船案内が始まっており、人気のデッキ席は埋まっていました。帰りの船ではデッキ席で琵琶湖の景色と空気を堪能しようと思っていたのですが、願いは叶いませんでした。

ただ、乗船時間は25分ぐらいで、立っていても十分耐えられる時間という事もあり、席に着かずにデッキの端の方で立っている事にしました。

乗船後、しばらくすると出港時刻となり船が動き出しました。

竹生島港・観光船

だんだんと島が遠ざかり、小さくなって行きます。

かわらけ投げは残念でしたが、それでも何か神聖な力を授かった様な気分に浸りながら島を後にしました。

竹生島

まとめ

今回は琵琶湖に浮かぶ、神社とお寺が同居する神聖な島「竹生島」を訪れました。

一通り見て回るのに2時間もかからない小さな島ですが、貴重な国宝や重要文化財級の建造物が数多く残っているため、古くから多くの信仰を集め、人々から大事にされてきた事が伺えます。

船でしか渡れないという島独特の特別感も加わり、パワースポットとしての雰囲気も十分でした。

今度は、琵琶湖内の他の島にも行ってみたいと思います。

住所〒520-1621 滋賀県高島市今津町今津30
電話番号0740-22-1747
営業時間運航ダイヤ・運賃は公式ホームページ参照
最寄り駅JR近江今津駅(徒歩約5分)
最寄りIC名神高速道路 京都東IC(車で約70分)
駐車場今津港:無料駐車場あり(琵琶湖汽船専用駐車場)約40台
公式ホームページhttps://www.biwakokisen.co.jp/
今津港(琵琶湖汽船 観光船のりば)(2023年2月時点)
住所〒526-0124 滋賀県長浜市早崎町1664-1
電話番号宝厳寺:0749-63-4410
竹生島神社(都久夫須麻神社):0749-72-2073
拝観時間9:30~16:30(観光船就航時間に基づく)
アクセス(船舶)今津・長浜・彦根の各港より、汽船約25分~40分
※船舶の運行情報については各船舶会社のホームページを参照
今津港・長浜港発着:琵琶湖汽船
彦根港発着:オーミマリン
公式ホームページhttps://www.chikubushima.jp/
竹生島 宝厳寺・竹生島神社(都久夫須麻神社)(2023年2月時点)
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