コアなラーメンファンの中には、画一化されて大規模に展開するラーメンチェーン店よりも、個性的でクセの強い小規模チェーンや家族経営のお店などを有りがたがる傾向があると感じています。
私も若干その気があるものの、大規模ラーメンチェーンの中でも足繁く通ってしまうほどお気に入りのお店もあったりします。
そのうちの一つが、鶏がらベースのこってりラーメンが人気のチェーン店「天下一品」です。北は東北、南は沖縄までと全国的に店舗があるため、ご存じの方も多いかと思います。
そんな天下一品発祥の地である総本店が京都にあるのですが、私はこれまで何度も京都を訪れているのにもかかわらず、まだ一度もこのお店を訪れた事はありませんでした。
天下一品好きとしては、聖地巡礼の意味でも一度は総本店に訪れたいと思って少し調べてみると、何やら総本店でしか味わえない限定メニューなるものがある事を知ってしまいました。
しかも、総本店のこってりスープは他店舗よりおいしいという噂もあったので、心はすっかり総本店訪問に向かっている自分がいました。
今回は、総本店のいくつかある限定メニューを試すため、三度も同店を訪れた時の様子を書いてみようと思います。
1回目訪問(牛すじキムチラーメン)
初訪問は先月の6月中旬頃でした。事前に調べたところ、週末のお昼時は結構並ぶらしいという情報が見受けられたので、開店と同時の入店を狙って開店時刻AM11:00の少し前に到着する事を目指し、滋賀の自宅を出発しました。
今回はこの後京都市内をぶらぶらしたかったので、バイクではなく、電車とバスを乗り継いで訪れました。京都駅からお店の最寄りにあるバス停「一乗寺木ノ本町」まで一本のバスで行く事ができるので便利なのですが、所要時間50分弱と意外に時間が掛かるので、少し余裕を持って訪れるのが良さそうです。
最寄りのバス停を降りて、3分ほど歩くと天下一品総本店が見えてきました。到着したのは開店の15分ほど前でしたが、幸運にもまだ誰も並んでおらず、一番乗りでした。
これが度々利用している天下一品を束ねる総本店かと感慨深げにお店を見回していると、そこかしこに「総本店」の文字が記されている事に気づき、他店舗との差別化を感じます。
京都には仏教の各宗派の総本山のお寺があるのですが、このお店も天下一品宗の総本山を名乗っても全く違和感ない気がします。
そういえば、以前横浜家系ラーメン発祥の吉村家を訪れた時、自らを「家系総本山」と名乗っていた事を思い出しました。やはり本店や一号店など発祥の店というのは聖地の様な存在でもあるので、総本山という言葉がよく似合う気がします。
創業は昭和46年との事なので、50年以上の歴史があるという事になります。ラーメン店としては結構老舗の部類です。
創業時は銀閣寺付近で屋台のラーメン店として営業を開始した様で、その後1975年(昭和50年)にこの総本店の地に第一号店を構え、この地を起点に全国的な一大ラーメンチェーンに広がっていった様です。
私が一番手としてお店の前に並び始めてから程なくして、後ろに他のお客が並び始めました。やはり週末は開店時間帯から列ができる程人気の様です。
開店の時刻が近くなると、店員さんがお店から出て来て待っているお客にメニューを手渡してくれます。列に並んでいる間、入店の番が近づいて来ると店員さんがメニューを手渡し、事前にオーダーを聞くスタイルの様です。
ちなみに手渡されたメニューの内容は、店先に掲載されていた以下の写真と同じです。これに加え、単品料理等のメニューもありました。
これらのうち総本店限定と表記されていたのは、牛すじラーメンシリーズ(牛すじキムチラーメン、牛すじラーメン)と、豚重シリーズ(豚重羽根つき餃子定食、温玉豚重定食、豚重定食)の2系統のメニューがあります。
あと、他店舗でも一部取り扱っている事もある様なので、限定とは表記されていませんでしたが、「噂のコロッケ」も総本店ならではのメニューの様です。
さすがにこれら全てを一度に食べる事はできないので、この日の後にも何度か訪問し、これらのメニューをいくつか試してみる事にしました。
いよいよ開店の時刻になり、店員さんが出て来て店内に案内されました。
店内はカウンター席と、4人掛けのテーブル席が数セットある程度なので、全部で大体40席ぐらいだと思います。思っていたより、こじんまりとした印象でした。
初回訪問の今回は、限定メニューの牛すじラーメンシリーズの中から、特に気になっていた「牛すじキムチラーメン」を選びました。
オーダーは外で待っている間に済ませていたので、席に座ってしばらくして注文の品が運ばれてきました。見慣れたこってりラーメンではあるのですが、どこか違う景色が広がります。
まずは、いつものこってりラーメンと変わらない部分からいってみます。
他店舗より美味しいと専ら噂のスープですが、確かに美味しいこってりスープと感じつつも、その場で多店舗のものと食べ比べたわけではないので、比較して美味しいかどうかという事までは、正直私の舌ではわかりませんでした。
ただ、たまに店舗によっては同じこってりスープでもアレ?何か期待した味と違うと思った事もあったので、それに比べれば安定感のある美味しいこってりスープという印象を受けました。
その他、麺、チャーシュー、ネギは特に他との大きな違いは感じる事無く、いつもの美味しいこってりラーメンの構成メンバーという感じです。
次に、限定メニューならではのキムチと牛すじをいってみます。
キムチラーメン自体は他店舗のメニューでも見かけた事があるのですが、注文した事が無かったため、こってりスープとの相性に若干不安を感じていました。しかしこれが意外とよく合い、キムチを浸すとスープが赤く染まり、ピリ辛風味が加わる事でちょっとした味変効果もあります。
牛すじは甘辛く煮られており、それ単体で食べても美味しいのですが、これもこってりスープと混ざる事で、スープに深みをプラスしてくれます。
このキムチと牛すじによって、いつものこってりスープがブーストされ、総本店でしか味わえない特別な味を作り出しています。
そのまま箸が止まる事なく、あっと言う間に完食してしまいました。
天下一品のラーメン好きが大好きなこってりスープに、いつもと違う総本店ならではのスペシャルな味がうまく混ざり合って変化をもたらす、大満足の一杯でした。
2回目訪問(豚重定食)
前回の訪問からしばらく経ち、6月の終盤に2回目の訪問をしました。
この日は総本店限定メニューの豚重シリーズの中で、最も標準的な豚重定食(豚重とラーメンのセット)を注文しました。
最初にラーメンが、そのすぐあとに豚重が運ばれてきました。豚重は重箱に入っており、見た目は何となくうな重の様な高級感を醸し出しているため、隣の庶民的なラーメンとのギャップがちょっと面白いです。
今回の主役でもある、豚重の蓋を早速オープンしてみます。
豚肉の焼き具合とタレの絡まり具合が本当に美味しそうです。
意外と肉がびっしりと入っており、濃いめのタレが絡まった豚肉は見た目通り美味しいです。
これがしっかりとした味付けなので、ご飯がどんどん進みます。調子に乗って食べ進んでいると、終盤ご飯が足りなくなってしまいましたが、今回も箸が止まる事無く一気に食べ終えてしまいました。
この日はラーメンのこってりスープも飲み干し、丼の底から旧ツイッターの鳩マークが現れました。既に見えていた「twitterはじめました」の文字も加わり、SNSが流行り始めた頃にしばし思いをめぐらしてしまいました。
よく見ると、この丼ぶりは「総本店」の文字が記されているので、このお店専用の丼ぶりの様です。前回訪問時の丼ぶりは特にこの表記が無いものだったので、総本店で使われる丼ぶりは幾つかバージョンがあるみたいで面白いです。
3回目訪問(噂のコロッケ定食)
前回2回目の訪問から更にしばらく経ち、7月上旬の猛暑の最中に3回目の訪問をしました。
この日のお目当ては「噂のコロッケ」です。これは総本店限定メニューではないですが、総本店ならではのメニューの様で、他店舗では一部しか取り扱っていないとの事です。
単品もあるのですが、今回はラーメンと噂のコロッケとライスがセットになった、「噂のコロッケ定食」を注文しました。
今回の主役となる噂のコロッケは2枚付いてきました。
見た目は普通のコロッケですが、平均的なコロッケのサイズより若干大きめで厚みもある気がします。
最初の1枚はソースも何もつけず、そのままいってみる事にします。
衣はサクサクで中はホクホク、じゃがいも自体の甘みをほんのりと感じて美味しいです。私は結構コロッケにはうるさい方ですが、これはなかなかレベルの高いコロッケだと思いました。
2枚目はしっかりソースをつけていってみました。やはりソースはコロッケとの相性は抜群です。ソースによってご飯がすすむ味に変化します。
後で知ったのですが、このコロッケをラーメンのこってりスープにドボンして食べる方も結構いるそうです。ちょっと味の想像がつきませんが、このコロッケとこってりスープともに不味くなる要素が全く思い浮かばないので、おそらく美味しいのではないかと思います。
コロッケ2枚は意外とボリュームがありましたが、美味しさのあまり意外とペロッと完食する事ができました。
この日もラーメンのスープを飲み干したのですが、丼の底から現れたメッセージは何と天下一品創業者(現会長)の木村勉氏のありがたいお言葉でした。
その言葉とは、
「こってりはわしの命や」
思わず、店内に飾ってあった木村会長の肖像写真に向かって、天下一品のこってりスープを生み出してくれた事に感謝の意を伝えたくなりました。
余談(天下一品グループ経営の温泉リゾート あがりゃんせ)
意外と知らない方も多いと思いますが、天下一品グループはラーメン店以外にも「あがりゃんせ」という温泉リゾート施設も経営しています。
この施設は滋賀県の温泉地「雄琴温泉」にあり、琵琶湖を望む絶景を眺めながら温泉に浸かる事ができます。入館料だけで利用できる設備やサービスも多く、利用者が無料で観劇できる大衆演劇もあったりします。
館内には3つの食事処があり、ビュッフェを低価格で楽しめたりするお店もあるので、1日中過ごせる施設です。ちなみに、この施設ではラーメンの提供は無いので、残念ながら天下一品のラーメンを楽しむ事はできません。
街のスーパー銭湯に比べて少々入館料が高めですが、一日楽しめば十分元が取れるレベルの施設だと思いますので、近くを訪れた際は是非お勧めしたいスポットです。
ちなみに、雄琴温泉と聞いて特殊なお風呂屋さんが集まる大人の男性向けのディープなスポットというイメージを抱かれる方も居るかと思いますが、あがりゃんせは小さな子供からお年寄りまで楽しめる健全な温泉施設ですのでご安心ください。
最後に、外観だけですが以前私がここを訪れた時に撮影した写真を貼っておきます。
まとめ
今回は、京都にある一大ラーメンチェーン「天下一品」の総本店に三度訪問し、同店限定のメニューなどを存分に堪能してきました。
どの限定メニューも天下一品の基本形を踏まえつつ、総本店独自の味がうまく融合しており、訪問する度に、わざわざ時間を掛けてまで来て良かったと感じさせてくれるものでした。
天下一品のラーメンが好きな方であれば、一度は訪れてほしい「聖地」とも言えるお店だと思います。
住所 | 〒606-8175 京都府京都市左京区一乗寺築田町94メゾン白川1F |
電話番号 | 075-722-0955 |
営業時間 | 11:00~翌1:00(ラストオーダー 0:45) 定休日:なし |
最寄り駅 | JR京都駅から京都市営バス5番系統(銀閣寺・岩倉行)に約50分乗車 一乗寺木ノ本町バス停下車 徒歩約3分 または 叡山電鉄 茶山・京都芸術大学駅から徒歩約12分 |
最寄りIC | 名神高速道路 京都東ICから車で約15分 |
駐車場 | 駐車場あり(店舗裏側22台) |
公式ホームページ | 天下一品(グループ総合) https://www.tenkaippin.co.jp/ あがりゃんせ(系列の温泉リゾート) https://www.agaryanse.co.jp/ |
公式SNSアカウント | 天下一品(グループ総合): (Instagram)https://www.instagram.com/tenkaippin_jp/ (X)https://x.com/1971tenkaippin (Youtube)https://www.youtube.com/channel/UCvt96NgRBB9MZhlj2c_94Jg 総本店: (X)https://x.com/tenkaippin1971 |
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