先日、梅雨の中休みで暑いぐらいに晴れた週末があったので、どこか涼しい所に行こうかと思っていたところ、京都の夏の風物詩「川床」の事を思い出しました。
京都の川床といえば鴨川と貴船が有名ですが、個人的に前から興味があったのは断然貴船の方です。何といっても山奥の清流に設置された川床で食事をする場面をイメージするだけでも涼しげな気持ちになります。
そんな川床ですが、今まで真夏しか営業していないと思い込んでいたところ、実は6月から、早いお店では5月から川床営業をしているという事を知りました。
7月になると、京都では祇園祭が始まり観光客が殺到しそうなので、まだ観光客が比較的少ない6月のうちがねらい目ではないかと思い貴船行きを決めました。
実は、今年の1月にも貴船を訪れており、積雪時限定のライトアップを見るために、滋賀の自宅から雪深い京都の山奥まで電車とバスを乗り継いで行った事を思い出しました。その時、今度は夏の川床営業のシーズンに来てみたいと思っていましたが、割と早く実現する事になりました。
ちなみに、その時の様子を「雪化粧の京都で冬散歩【夜編】(貴船神社 積雪日限定ライトアップ)」という記事で書いていますので、ご興味のある方はご覧ください。
移動・行き(出町柳駅 ~ 貴船バス停)
まずは、貴船の玄関口となる叡山電鉄の出町柳駅まで行く必要がありますが、京都駅から直通電車がないため、地味に不便です。
まず京都駅から、本数が少な目のJR奈良線に乗換えて1駅の東福寺駅まで行き、さらに京阪電車に乗り換えて京阪の出町柳駅で下車し、そこから少し歩くと、ようやく叡山電鉄の出町柳駅にたどり着きます。
ここから更に、叡山電鉄の電車に乗って京都の奥座敷、貴船を目指します。
30分程電車に揺られた後、目的の貴船口駅に到着しました。下車してホームに降り立つと、眩しいぐらい鮮やかな緑色の木々に囲まれており、1月に訪れた時の白銀の景色とは全く別の世界になっていました。
駅を出てすぐの所に、ちょうど貴船神社方面に行くバスが停まっていました。1月の時には結構長い乗車待ち行列が出来ていたのですが、この日は時間的にもまだ早かった(午前10時少し前)ためか、行列も無く、すぐに乗る事ができました。
バスに乗ってしまえば約5分程で目的地の貴船バス停に到着します。
貴船バス停 ~ 貴船神社 本宮
バスを降りて周囲を見渡すと、再び1月に訪れた時の事を思い出しました。寒さと積雪で歩きにくくなった道を慎重に歩いていたのが嘘の様に、この日は森林浴をしながらストレスフリーで歩く事ができました。
気温も快適で、ここに来る途中、京都の市街地は午前中の時点で既に暑かったのですが、それに比べると貴船は明らかに気温が低いせいか涼しく感じます。
そんな事を考えながら歩いていると、貴船神社の本宮入口にある「二の鳥居」の前まできました。ちなみにここまで歩いてきて「一の鳥居」が見当たりませんでしたが、後で調べてみると、この日通っていない貴船口駅より少し南に行った所にある様です。
鳥居をくぐって石段を上り始めると、赤い灯篭と深緑の木々が織りなす美しい風景が現れました。
1月の積雪ライトアップを見に訪れた時、雪帽子を被った灯篭が両脇にずらっと立ち並び、ぼんやりとした灯りで周囲の雪景色を照らす様子にいたく感動しましたが、生命感あふれる深緑のシーズンも本当に素晴らしいです。
石段を上り切ると、本堂近くの広場に出ました。
手水舎で手を清めてから参拝するため本堂の方へ向かいます。
本堂で参拝を済ませて周囲を見回すと、お守りや御朱印の授与所があり、結構な人だかりが出来ています。
この神社は水の神様が祀られており、本堂のすぐ近くに名水「御神水」が湧いている場所があります。1月に訪れた時も有難く一口いただきましたが、今回も何か神秘的な雰囲気に推され、一口いただく事にしました。
そのすぐ近くに、水占みくじというものが有りますが、1月に訪問した時は混雑していたため、ちょっとやる気が湧いてこなかったのですが、今回は比較的空いていたのでチャレンジしてみる事にしました。
まず、おみくじを引くための初穂料(2023年6月時点で200円)を台に置かれた箱の中に収め、その横の箱に入ったおみくじ用紙の束から1枚取ります。この時点の用紙は、枠のみ表示された状態になっており、何も書かれていない様に見えます。
次に、御神水の横に水が張られた場所があるので、おみくじの用紙をその水面に浮かべます。
しばらくすると、文字で浮かび上がってくるので、おみくじの結果を読む事ができます。
ちなみに、私が引いたおみくじは「小吉」でした。記事のネタとしても何とも中途半端で微妙な結果に終わってしまいました。
改めて周囲を眺めてみると、青々とした木々に包まれ、霊木と言っても差支え無さそうな巨木も違和感なく存在するので、何か霊的なものが宿っていそうな雰囲気を感じます。さすがパワースポットとして名高い神社です。
もう少し本殿周辺の広場をぶらぶらとしてみると、何故か白と黒2頭の馬の像がありました。実はこの貴船神社は、どこの神社でも見かける「絵馬」発祥の地と言われている様です。
その向かいに龍船閣という建物があり、眺めも良くベンチも置かれいるので休憩場所に良さそうです。
貴船神社 本宮 ~ 奥宮
そろそろ本宮を離れて奥宮の方を目指します。
石段を下って行くと、水辺のある一画やカフェの前などを通り過ぎて再び道路(京都府道361号 上黒田貴船線)に戻ります。
道路沿いを更に進んで行くと、徐々に料理店が増えてきます。時折、営業時間前でまだ準備中の川床会場を見かけると、川床料理への期待が徐々に高まってきます。
今年1月に訪れた時にも立ち寄った、ひろ文というお店ももちろん夏は川床営業をしていました。ここは川床料理としてはリーズナブルなお値段の「流しそうめん」が人気の様で、営業時間前からちょっとした行列が出来ていました。
また、1月訪問時にも見かけて何故か印象に残っていた、奥宮への案内立札にも再会しました。相変わらず奥宮の神聖なパワーを予告していました。
その後も次々現れる営業時間前の川床会場を横目に奥宮を目指します。
すると、道路の左脇の方に奥宮への入口となる鳥居が見えてきました。
鳥居をくぐるとひたすら直線の参道を進みますが、両脇に立つ木々がどれも背が高く、樹齢も高そうです。何か神秘的なエリアに突入している様な実感が湧いてきます。
奥宮の本殿入口にある神門まで来ました。早速中に入ってみます。
門をくぐると、まさに杜の中の神社という景色に包まれます。天高く伸びる木々が鬱蒼と茂る神秘的な雰囲気に圧倒されます。
この時午前10時台でしたが、まだ参拝客もまばらで静寂さが保たれていたため、しばらく足を止めて思う存分この空気感に浸る事ができました。
しばらくこの神聖な空気に浸った後、本殿で参拝を行い、この場所を後にしました。
貴船神社 奥宮 ~ 鳥居茶屋 真々庵
奥宮の神門を出てすぐの所に、有料の駐車場があったのでちょっと覗いてみました。バイクもOKらしく、車を十数台ほど停められそうな広さでした。最大2時間までと長時間の駐車はできない点には注意が必要です。
この時既に10台程停まっていたので、お昼の時間帯にはすぐ満車になりそうな勢いです。
ちなみに、本宮の近くにも同じようにちょっとしたスペースの駐車場がありましたが、既に満車でした。貴船を訪れる際は、大人しく公共交通機関を使った方が良さそうです。
奥宮の駐車場近くの自然が良い感じだったので、少し道路側に出て散策してみました。やはり水の守り神が居る場所だけあって、ここを流れる貴船川の水は本当に綺麗です。
再び参道に戻り、鳥居を出て奥宮を後にします。
奥宮の鳥居を出た付近も様々な自然が息づいており、街中では見かけない虫(ハグロトンボ)がいたり、ツインタワーの様にそそり立つ2本の杉(相生杉)があったりと、ついつい足を止めてしまう要素が散りばめられていました。
本宮、奥宮ともに参拝を終え、各料理店の川床営業の始まる午前11時が近づいてきたので、いよいよこれから川床料理を楽しみに向かいます。
貴船の川床料理は1万円以上の会席料理が大半で、予約も必要なケースも多いようですが、今回事前に調べたところ、予約なしで比較的リーズナブルに川床が楽しめるお店があったので、そちらを目指す事にします。
来た道をひたすら戻り、貴船バス停にほど近い場所に差し掛かった所で、目的のお店が見えてきました。
川床料理(鳥居茶屋 真々庵)
ここは鳥居茶屋 真々庵というお店で、川床料理は1万円を超える通常の会席料理もあるのですが、それよりリーズナブルな川蛍弁当(4,000円)という予約不要のメニューもあります。(2023年6月時点の価格)
ただ、予約不要という事は逆に言うと予約はできず、その時席が空いていれば提供できるという事の様なので、混雑している日や時間帯は、もしかしたら提供されないのかもしれません。
予定した時間に確実に食事をしたい場合は、予約可能なメニューやお店が良さそうです。
ほぼ営業開始時刻ちょうどに入店したので、私の他にはまだ一組しかお客がいませんでした。予約をしないで川床料理を楽しむ場合は営業開始直後あたりか、お昼のピーク時間帯を大きく外した時間がねらい目かもしれません。
お店の方に案内された席に着いてみると、川のせせらぎを間近で見る事ができる、涼し気でなかなか良い席でした。早速、事前に決めていた川蛍弁当を注文して料理を待ちます。
川の上流側を見渡すと、向こう側にも座席エリアがありました。どうやら会席料理の予約客用の席らしく、眺めはそちらの方が良さそうに見えました。
とはいえ、私が案内された席も十分川床の雰囲気を楽しめます。
川床の雰囲気に浸っていると、料理が運ばれてきました。
最初料理が箱に納められた状態で出されるので、自分で取り出してテーブルの上に料理を並べます。こうやって眺めてみると、ビジュアル的にも涼し気で、納涼感たっぷりの料理達に見えます。
こんな料理を前にしたら、やはりアレが欲しくなります。
今日はバイクではなく、電車とバスで来たので、すかさずビールを注文してしまいました。ただ、中瓶1本1,000円と聞いて一瞬怯みましたが、思い出づくりと雰囲気代だと自分に言い聞かせ、何とかビールの注文を決行しました。
清流と深緑の景色を間近に眺めつつ、美味しい料理をつまみながらビールを飲むという、この上ない至福の時間が始まりました。
先程から、そうめんが圧倒的な清涼感を放っているので早速いただいてみると、山椒の実がちょっとしたアクセントになっており、つるつるっと入って行きます。のど越しも最高です。
この後も、鮎の塩焼きとお茶漬けが追加で運ばれてきました。
正直な所、廉価なお値段設定なので、あまり期待していなかったのですが、意外と品数や量があり満足できました。川床の雰囲気を味わえて、この料理と値段であれば十分満足です。
この川蛍弁当は、今回の私の様におひとり様でもOKなので、一人旅で訪れる場合も最適だと思いました。ただ、予約客で満席の場合は提供できない場合もあるそうなので、混雑時間帯を避けるなど注意が必要です。
移動・帰り(貴船バス停 ~ 出町柳駅・鴨川周辺)
貴船の川床を十分満喫できたので、そろそろお店を出る事にします。一旦川床会場を出て、向かいの店舗でお会計を済ませました。
お店から歩いてすぐの所に貴船のバス停があるのですが、既にちょっとした乗車待ちの行列が出来ていました。やはりこちらに来る時のバスが空いていたのは時間帯が早かったためで、お昼の時間帯になると普通に混み始める様です。
この時はそれほど長い行列ではなかったため、割とすんなりバスに乗る事ができ、程なくして貴船口駅にまで戻って来る事ができました。
今度は出町柳行きの叡山電車に揺られ、貴船より気温がぐんと高くなっている京都市街地にたどり着きました。
出町柳駅を出て少し鴨川沿いを散策してみようとしましたが、少し歩いただけで汗ばんできます。せっかく貴船で涼を取ったのに一気に現実に戻された感じです。
そういえば、ここ鴨川にも川床が設置されており、そこで涼を取りながら食事をしているお客が見えました。ちなみに、貴船の川床は「かわどこ」と読むのですが、鴨川の川床は「かわゆか」と読むそうです。
そんな鴨川の川床を横目に見つつ、今度は「かわゆか」にもトライしてみようと思いながら帰路につきました。
まとめ
今回は京都の夏の風物詩、貴船の川床を堪能してきました。
猛暑の街中を離れ、貴船の涼しい気候の中で清流を眺めながら食事をするのは、何とも言えない贅沢な時間でした。
今後梅雨が明けて本格的な夏を迎えると、貴船は更に混み合うと思われますが、これから行かれる方で、あまり時間を融通できない場合は、予約可能なお店や会席メニュー等を選んだ方が無難かもしれません。
また、貴船を訪れるのであれば、是非貴船神社にも参拝してほしいと思います。冬の積雪ライトアップも風情がありましたが、瑞々しい緑の木々と清流に囲まれた夏の貴船神社は、パワースポット特有の神秘的な雰囲気に浸る事ができます。川床料理とセットで訪れる事をお勧めします。
住所 | 〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町180 |
電話番号 | 075-741-2016(電話受付時間 9:00~17:00) |
拝観時間 | [本宮] 開門:6:00、閉門:18:00(12/1~4/30)、20:00(5/1~11/30)(年中無休) [授与所受付] 9:00~17:00 |
アクセス(公共交通機関) | 叡山電車 貴船口駅で下車 京都バス(33系統)に乗り換え「貴船」バス停下車 徒歩約5分 (貴船口駅から徒歩の場合は約30分) |
アクセス(自家用車) | 名神高速道路 京都東IC または 京都南ICから車で約60分 ※駐車場 800円/2時間 本宮(10台)、奥宮(15台) ※川床シーズンは混雑が予想されるため、公共交通機関の利用を推奨 |
公式ホームページ | https://kifunejinja.jp/ |
公式SNSアカウント | (Twitter)https://twitter.com/kifunejinja (Facebook)https://www.facebook.com/kifunejinja/ |
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住所 | 〒601-1112 京都市左京区鞍馬貴船町49 |
電話番号 | 075-741-2231 |
営業時間 | 営業期間: 6月上旬頃~9月上旬頃(2023年の例では6月8日~9月10日) 営業時間: 11:00~20:30(最終入店18:00まで) ※200m川の上流にある鳥居茶屋の本店は通年営業 |
アクセス(公共交通機関) | 叡山電車 貴船口駅で下車 京都バス(33系統)に乗り換え「貴船」バス停下車 徒歩約2分 (貴船口駅から徒歩の場合は約30分) ※会席料理のお客様は貴船駅まで送迎あり |
アクセス(自家用車) | 名神高速道路 京都東IC または 京都南ICから車で約70分 ※駐車場あり(4台) |
公式ホームページ | 鳥居茶屋 ホーム https://www.toriijaya.com/ 真々庵(川床料理)のページ https://www.toriijaya.com/shinshinan/ |
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